韓紙(ハンジ)が出来るまで その2 ~灰汁作り、漂白、ちりとり、叩解~




5.灰汁作りと煮塾(しゃじゅく)
藁や蕎麦の茎を焼いて、灰を作り、布を敷いた
甑(こしき)に入れ、70~80℃のお湯を上から注ぎます。
次に、この滴り落ちるアルカリ性の液体、灰汁を
集め、灰汁で煮ることで、繊維内の不純物を可溶性に変えて、純度の高い繊維を抽出します。原料によって異なりますが、藁の場合、3キロの白皮を煮るのに、
20キロの灰が、また、灰汁は、70キロも必要なんだそうです。



6.すすぎと日光漂白
全体的に日が当たるように万遍なく動かしながら、
原料に残っている灰汁を流水で洗い流します。
この過程では、水と紫外線の光化学反応で発生する
オゾンや過酸化水素を利用した天然漂白も同時に
行われ、晴れた日で5日間、曇りの日で1週間ほど
かけて、ゆっくり漂白していきます。

7.ちりとり
洗浄と漂白を終えてもまだ、混ざっているほこりや不純物、
また、霜に当たったり、楮の芽の部分などで傷ついた原料を
取り除いていきます。楮から作る紙は、その性質上、機械での
ちりとりは難しく、手作業で行います。熟練した職人さんに
なると、1日に1.8~2.4キロのちりとりが出来るそうです。
1.8キロものゴミ...考えただけでも、気が遠くなりそうですね。


上:ちりとりの様子
下:ちりとりを終えた原料




8.叩解(こうかい)
40~60分ほど原料を叩きます。右は、かなりワイルドな
写真ですが、相当な重労働なので、最近では、ほぼ機械化されています。昔は、石板やオノオレカンバ(斧折樺)と呼ばれる固い
木材で作られた板の上に原料を置き、木の棒でひたすら叩いた
そうです。原料が叩き始めの2倍ほどに広がり、叩くとふわっと
浮き上がるようになると、ようやく叩く作業が終了です。


ようやく、紙漉きの準備が出来ました。次回は、『韓紙ができるまで』ついに最終回です。長くなってますが、もう少しだけお付き合いくださいませ。



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